戦国新報
 
 
平成13年 前期
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巣を守る蜂の忠誠心
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 去年の秋頃、玄関の軒先に蜂の巣が下がっており、棒で落とそうとしたら、蜂の集団がものすごい勢いで向かってきた。何でこんなに勢いよく襲ってくるものかと蜂のことを調べてみたら、蜂は自分の巣が無くなると死ぬようです。自分の巣が無くなったからといって他の巣に入る訳にはいかない。巣が無いと生きていけないから巣を守るため集団で死に物狂いで命をかけて戦うというのです。
 戦国の世も、この蜂と同じように忠誠心の厚い武士の集団があった。それは譜代大名である。その譜代大名を多く重用していたのが徳川家康であった。
 秀吉の弱点は譜代大名がいなかったことである。譜代大名というのは、一代二代ではなかなか蜂のように忠誠心をもったものは作れない。先祖代々蜂のように忠誠を尽くしてきたものでないとダメである。譜代はたとえ負け戦の時でも、自分が犠牲になって主君を守るため、死に物狂いで戦うし、それが義務であると考えていた。
 関ヶ原の戦いは、徳川側と豊臣側に譜代大名がいるかいないかの違いによって勝負が決まったような気がする。
 不況の世の中、蜂のような忠誠心を持って会社のためにがんばることが大事なようが気がするが、なかなかむずかしいことだ。
【文:高田 金道】