戦国新報
 
 

平成24年 前期
【 H24.5.13】

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「ひとりごと」が墓穴を…

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 「ひとりごと」にも壁に耳あり…。

 戦国の世、秀吉の天下も落ち着き大阪城が完成した。秀吉は大名達を招待して城内を見学させた。その後祝杯の席上で、「わしの造った名城をどのように工夫すれば落城できるか、遠慮なく意見を述べてみよ。良い意見があれば禄高を上げてやってもよい」と訊ねた。席上様々な意見が出たが、なかなかこれという意見が出なかった。

 やがて秀吉は「皆の者今日はご苦労であった。わしは先に席を立つが皆さんは遠慮なく飲んで帰ってくれ」と席を立った。帰る直前に低い声で「みんな良い知恵がないものだ。外堀を埋めれば簡単に落とせるものを」と「ひとりごと」をつぶやいて帰った。その「ひとりごと」を一番そばで聞いていたのが家康であった。

 やがて秀吉も亡くなり、その数年後、豊臣方と徳川方との戦が始まり大阪冬の陣に突入。広い外堀と高い石垣によって攻略が難しい大阪城だったが、家康はこの時、秀吉の「ひとりごと」を思い出した。そして和睦を結び、外堀をすべて埋めさせることに成功した。その後の大坂夏の陣の戦いで難攻不落の城を落城させ豊臣家を滅ぼした。秀吉の「ひとりごと」が身を滅ぼす結果となった。

 いつの世も「口は災いの元」ということわざがあるが、うっかりほんのささいな「ひとりごと」でも気をつけて言わないと誰がどこで聞いているのか要注意だと思うが、なかなかむずかしい。

【文:高田 金道】