戦国新報
 
 
平成7年 前期
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謙虚な人柄の前田利家
家康よりも長生きさせたかった
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 前田利家にある時、福島正則から鯉が二匹送られてきた。利家は家来に礼状を書かせた。家来は利家の方がはるかに先輩であり、身分も上だからといって、ごく簡単な手紙を書いた。が、それを見て利家は
 「公式の文書でもあるまいし、この場合は“お心かけていただきかたじけない”というようにもっと丁重に書かなければならない。目下だからといって見下した書き方をすれば、いかにもお前とは身分が違うといわんばかりで、それは小身の愚か者のすることだ」といって、書き直させた。
 前田利家は信長、秀吉に仕えた歴戦の勇将でもあるが、その謙虚な人柄で人望も厚く、もし家康よりも長生きをしていたなら豊臣政権はもっと続いていただろうし、家康も簡単に天下を取れなかっただろうと言われている。
 利家が人望を集めたのは、高い地位にいても、それにおごることなく、謙虚に人に接したということが大きな原因なのではないだろうか。
 今の時代でいえば、指導者は地位が高くなればなるほど謙虚でなくてはならないということではないだろうか。
【文:高田 金道】