戦国新報
 
 
平成7年 前期
もどる
競争相手にも学ぶ心構え…
すすむ
 “海道一の弓取り”と言われた徳川家康は、武田信玄が陣中で没した時、「惜しい人物を亡くしたものだ。自分は若い頃から信玄の兵法を見習ってきた。いわば私の師であった。隣国に強敵がいれば、それに負けまいと努力する。それにともない自分の国も良くなるものだ。そういう相手がいないと、つい努力することを怠ってしまう。だから敵であっても信玄のような名将の死は、誠に残念であり、少しも喜ぶべきことではない」
 さすがに家康は天下を取るだけあって、ものの見方が卓越していた。
 今の時代も、たとえば企業などにおいて、非常に力もあり、立派な経営をしている相手と競争していく場合、ややもすれば大変なことだと考えるのではないだろうか。
 しかしこれを家康のような見方をすれば、「相手の経営のいいところは大いに取り入れてやろう。また、こういう相手と競争していくのは大変だけれど同時に励みにもなるし、結局自分の会社の発展にプラスになるのだ」と考えるのだが、現実はなかなか難しいことである。
【文:高田 金道】